緋と微熱と狂想曲【上】





「時に依茉ちゃん、何か私に用があったんじゃ無いのかい?」



鍋島さんは飲み終わったジュースの缶を私から取ると、軽く手で押し潰してそう言った。



「あ、そうだ!」



本来の目的をすっかり忘れていた。

私は皐月くんのバイト先、Sun Shineってお店に用があるんだった。



「鍋島さん、此処等辺で“Sun Shine”って言う名前のお店知りませんか?」



何気無く聞いたつもりだった。



でも、



「…Sun Shine?」



私の口から出た店の名前を耳にした途端、鍋島さんの顔は微かに強張った。



「御存知なんですか?」



この反応は店を知っている。



そう確信した私はじっ、と鍋島さんの目を見つめた。