緋と微熱と狂想曲【上】





「美味しかったかい?」



「とっても。
>有り難う御座いました」



すっかり喉が潤った私は機嫌が良くなり、満面の笑みで返事をする。



「ははは、そりゃ良かった。

それにしても、お嬢ちゃんのその屈託無い笑顔。

本当に中学生みたいだねぇ」



「もう、違いますからっ!」



むうっ、と頬を膨らませる。



「そう言う所が、幼く見えんだよ」



おじさんは、がははと笑った。



この人にはこれ以上、何反論しても無駄かも。



そう思った私は否定するのを諦める事にした。



「お嬢ちゃん、名前は何て言うのかい?」



「…名取依茉です」



「珍しい名前だな」



「いつも言われます」



「まあ、可愛らしい名前だとおじさんは思うよ」



「…有り難う御座います」



素直にお礼を述べる。