緋と微熱と狂想曲【上】





それから数分もしない内におじさんは缶ジュースを一本持って店から出て来た。



「はいよ、お嬢ちゃん」



前掛けでサッと手のひらを拭ってから私に缶ジュースを渡す。



「有り難う御座いますっ」



私はぺこりと御辞儀をすると受け取った缶ジュースをまじまじと眺めた。



パッケージは瑞々しい桃の写真がプリントされてあり、ブランド会社のロゴマークが記載されていた。



「冷てぇの持って来てやったから早く飲んじまいな」



「あ、はいっ」



おじさんの言葉に私は爪でプルトップを抉じ開けて缶の縁に口付けた。



そのまま缶を斜めに擡げ、ジュースをぐびっと飲む。



まだまだ初夏とは言え、炎天下の中で飲むジュースは格別で私はあっと言う間に飲み干してしまった。