緋と微熱と狂想曲【上】





「いやー、まさかお嬢ちゃんが大学生だとは思わなんだ。

すまないねぇ」



おじさんは首筋を手でぽりぽりと掻いて豪快にわはは、と笑っていた。



悪びれている様子はどうやら全く無いらしい。



「…いえ、慣れてますから」



ああ、私も何が悲しくてこんな事を自ら言わなきゃならないのか。



軽く頭を垂れて凹んでいると。



「御詫びに缶ジュース一本やるから、許してくんねぇかい」



おじさんはバシバシと私の背中を叩く。



缶、ジュース…?



その言葉に私の耳はぴくっ、と動いた。



「缶ジュースあるんですかっ!?」



「そりゃ、酒屋だからな。
宴会に必要な飲み物は揃ってるってもんよ!」



「タダで戴けるんですかっ!?」



「お嬢ちゃんの機嫌を損ねてしまったみたいだからねぇ」