緋と微熱と狂想曲【上】





店の看板には“どんじゅう酒屋”と表記されていた。



やっぱり酒屋さんだったんだ。



続いて店の方に視線を走らせる。



こじんまりとした感じの小さい店で、店の扉は硝子張り。
中には棚が所狭しと並んでいて瓶焼酎などおつまみが沢山配置されている。



いつもお酒やおつまみはスーパーやコンビニでしか見た事が無いから
ちゃんとした専門の店で目にするのは何だか不思議な感じだ。



きょろきょろと周りを見まわす私を見ておじさんは、



「あんたお客さんじゃ無いねぇ」



そう言って笑った。



「えっ!?」



何で分かったのかとおじさんの顔を見つめると、
おじさんは窓ガラスを拭いていた手を止めて。



「お嬢ちゃん、どう見てもお酒を買いに来る様な年頃にゃあ見えねぇよ」



そう言ってにんまりした。