緋と微熱と狂想曲【上】





授業中に鳴ったり、バイブが震えるとダメだから携帯はキャンパス内ではいつも電源を切っている。



メモにはメールアドレスは書かれていない。



直接電話をするしか無いみたいだ。



携帯のパワーボタンを押して電源が入るのを待ちながら私はメモに書かれている番号に目を通した。



綺麗な字で走り書きされている皐月くんの携帯番号。



今から自分がそれに掛けるのだと思うと酷く緊張してしまう。



初恋をしたばかりの中学生みたいだ。



でも兎にも角にも連絡をしなくちゃ始まらない。



私は無意味に大きく深呼吸をしてから
番号を一気に携帯に入力した。



ピ、ポ、パ、ポ、ピ…



番号を入力し終わると暫しの無音が訪れる。



どぎまぎしながら携帯を耳に当てがうとすぐに電話を繋ぐ機械音が流れた。