エレベーターを使って一階まで降りる。



私の部屋は六階建てのマンションの五階。



エレベーターが一階から五階に上がって来るまでの間、皐月くんは無言だった。



「ねぇ、皐月くん。

皐月くんもこれから大学に行くんだよね?」



私はおずおずと皐月くんに話し掛けた。



皐月くんは一体何処の大学に行ってるんだろ。



あのカラオケ店の通りで会う位だから私が行ってる大学と近い筈だよね、きっと。



もしかして学部が違うだけで同じ大学だったりして。



なんて考えながら皐月くんの顔を見上げると。



「俺は大学には行かないよ」



皐月くんはそう言って小さく息を吐いた。



「え?

じゃあ今から何処に行くの?」