緋と微熱と狂想曲【上】





「治癒、完了」



…へ?



思いもしなかったその言葉に怒るのも忘れてぽかんと口を開ける。



な、に…?



治癒、って…?



間抜け面した私を見て皐月くんはニヤリと笑った。



「俺が理由無しに依茉なんかにキスすると思った?」



!!



「する訳無いじゃん、お子様に。

頬の傷口、塞いだだけだよ」



「えっ!?」



急いで舌を傷付いた左頬に滑らせてみる。



其処には──



「本当だっ!」



さっき歯で噛んでしまって血が出ていた筈なのに、今では綺麗さっぱり跡形も無くなっていた。



傷、治してくれたんだ…。



「餌の健康管理は俺、欠かさない事にしてるんだ」



「何、それ…」



思わず笑みが零れる。