緋と微熱と狂想曲【上】





あの時の事、気に掛けてくれたんだ。



じんわりと胸の奥が暖かくなっていく。



「何、珈琲のが良かった?」



「ううん、紅茶で良かった。
皐月くん、有り難う」



「そ、なら良いけど」



皐月くんは珈琲をまた一口啜ると、軽く手を合わせて席を立った。



「もう食べ終わったの?」



「見て分からない?」



皐月くんの前に並ぶ三皿を見るとどれも綺麗に空っぽだった。



完食、を表している。



「依茉も早く食べないと学校遅れるよ?」



「あっ!」



私は急いで残りのサラダを掻き込む。



紅茶をぐびぐびと飲み干す。



「皿洗いは依茉がやっといて。
依茉んちの食器洗浄機、使い勝手が分かんないから」