緋と微熱と狂想曲【上】





あ、このハムエッグ胡椒が上手くマッチしていて凄く美味しい…



なんて考えていた矢先、



ガリッ、



左側の頬を歯で噛んでしまった。



っ、痛ーっ!



勢い良く噛んでしまった頬の痛みに顔を蹙める。



「どうかした?」



フォークを持つ手が止まった私の異変に気付いて皐月くんが声を掛けてくれた。



「う、ううん。
何でも無いっ…」



私はすぐに食事を再開した。



たかだか口の中を噛んじゃっただけだし。



あ、血が出てきたかも。



ハムエッグの味に混じって鉄の味が流れ込んでくる。



うぇぇ、せっかくの料理が味覚半減しちゃうよ。



歯で傷付いた頬を舌で探り当てて舐める。



舌の刺激によって頬の独特の粘膜と小さな痛みを感じた。