緋と微熱と狂想曲【上】





それから皐月くんはごく普通に
私の横に潜り込んで来た。



「ひっ…」



瞬間的に布団を掴んだまま皐月くんから遠ざかる。



ベッドの左端に追い詰められた私は床に落ちそうになった。



だけど、皐月くんはそんな私の事なんて気にも止めずに
フローリングの床を指差してさらりと言った。



「どうしても俺と寝るのが嫌なら下で寝れば?」



そう言うや否や、すっかり身体を布団の下に埋めて早くも就寝体勢に入っている。


「……。」


この冷たいフローリングの床で寝ろって…


普通に酷いよね。



「あの、皐月くん…」


「何?」


「あと幾つか質問しても良い?」


まだまだ聞きたい事が沢山ある。



「質問なら明日以降にして。
俺の気分を損ねさせたいなら話は別だけど」


…それは絶対嫌だ。


「分かった、明日にする」