緋と微熱と狂想曲【上】





和夏が教室を出て行くのを目で追ってから私はスケジュール帳を閉じ、机に突っ伏した。



いつの間にか教室には私以外の生徒は誰も残っていなかった。



午後の授業がある人はお昼を食べに、
そうで無い人は家路に着いたりバイト先に向かったりしているんだろう。



「…私もバイトとかしてたら良かったかな」



そうすれば、今日の午後が暇だったなんて事無かったのかも知れない。



普通、皆は学費とかお小遣いの為にバイトでお金を貯めるんだろうけど生憎
私の家は金持ちだった。



だから実家から大学が遠い私は両親から仕送りで貰うお金で
大学から近いマンションを借りて一人で住んでいる。



仕送り分のお金で衣食住、備えてお小遣いも賄えて私は今の環境に満足しているつもりだ。