緋と微熱と狂想曲【上】





「皐月くんに噛まれた痕が…」



確める様にそう呟くと。



「ああ、そんな事。

当たり前だろ、俺が治しておいたんだから」



皐月くんはしれっとそう言った。



「治した…?
皐月くんが…?」



聞き捨てならないその言葉に目を見開く。



皐月くんは面倒臭そうに溜め息をついた。



「俺等、吸血鬼には治癒能力が体内に備わってんの。
唾液には癒しの力がある。
依茉の傷口を塞がないと出血多量で死にかねなかったから舐めて塞いだだけだ」



皐月くんはバツの悪そうな顔をして舌をちろっと出して見せる。



そっか、そうだったんだ。



…何だか怖いけど便利な力なんだな。



これぞ
“怪我しても舐めてりゃすぐ治る”
って感じなのね。



少しだけ羨ましく感じた。