白から赤に、



それは良く映えていた。



頭の中がぐるぐると目まぐるしくまわる。



ズズッ、ズズズズッ…



皐月くんは私の血を吸い、ゆっくりと顔を上げた。



そして私の頬に手を添えて唇に口付けた。



「んっ…」



私は身じろぐ事しか出来ない。



「ほら、美味しいだろ。
依茉の血…」



皐月くんの唇から私に流れ込む自身の血。



美味しい、なんて感じる訳が無い。



鉄の味しかしない。



例えるなら金属の錆びた液体を口に含んでいるのと同じ事。



「んっ…」



顔を歪めた私を皐月くんは満足そうな顔で見つめた後、また首筋に顔を埋めた。



ズズッ、



生々しい音が私の中を支配する。



やっぱりこのまま死ぬんだ…。



私の意識は徐々に遠退いていき──



やがて目の前が真っ暗になるのを感じた──。