ぽたぽた、ぽたっ…



皐月くんの口の端から私の血液が流れ落ちる。



流れ落ちる血は白いワンピースを鮮やかに染め上げた。



私はその様子をまるで第三者の様に虚ろな目で見ていた。



身体中に波が押し寄せる。



甘い刺激が全身を駆け巡って私の頭を不自由にする。



恐怖と快感で朦朧とする私には
皐月くんをはね除けて逃げようとする気力なんて残って無かった。



「はぁ、っ…」



不規則な呼吸でがくがくと震える足を辛うじて支え、私は何とかこの場に立っている。



「凄く美味しいよ、依茉」



皐月くんは今一度、顔を上げて私を見た。



視界に顔が映る。



それは艶やかで妖しい皐月くんの微笑む姿。



その顔を見上げる気力も無くしてだらりと頭を垂れた。




目に入るのはどんどん染まってゆく私のワンピース。