緋と微熱と狂想曲【上】





絶望感に襲われた私は、瞬間的にくるりと踵を返して走り出した。



誰か、助けてっ…!



でもそれは叶う事無く、あっさりと皐月くんに捕まってしまう。



「離して、お願い!」



「そう言われて離す奴が何処にいると思う?」



皐月くんは後ろから私の首に手をまわすと、ぐいっと身体を引っ張った。



「きゃあっ…」



私の体は簡単に皐月くんの腕の中に閉じ込められてしまう。



「やだ…、吸わないでっ!」



じたばたと暴れてみるも全く効果は無い。



「恐怖で震える女の血は、極上に甘くて美味しいって…
依茉、知ってた?」



垂れていた首を掲げて皐月くんを見上げた瞬間だった。



一瞬の隙を突いて皐月くんは私の首筋に顔を埋め込んだ。