「待って、一つだけ──」
「何?」
皐月くんは苛々しているのか眉根を寄せる。
その態度、やっぱり本当なんだ…。
「気分が悪くなった私に声を掛けてくれた事…
喫茶店で優しくしてくれた事…
私の偽彼になってくれた事…
あの時の皐月くんの顔は全部嘘だったの!?」
どうかそれだけは本当であって欲しいと願わずにはいられなかった。
例え、私を餌にする目的の為だけだったとしても──。
「あんなの信じる方が可笑しいよ。
油断させる為に良く使うんだよね、“優しい皐月くん”」
何が可笑しいのか、皐月くんはクスクス笑う。
「や、嫌っ…」
懇願した所で願いが受け入れられる訳も無く。
