――何がメアリーだ!
これまで特に何の感情も持っていなかった西こずえに対して、今の俺は嫌悪感でいっぱいだった。
――こんなことして何になるんだよ?
西を恨むのと同時に、自分自身に嫌気が差してくる。
中学生のときにも同じようなことがあった。クラスのある女子と仲良く話していただけで、その子がクラスの女子全員からシカトされてしまったのだ。
明るくて話しやすかったその子は急に俺を避けるようになった。それどころかクラスの誰にも心を開かなくなってしまった。
彼女に謝ってどうにかなるわけでもないし、クラスの女子全員を問い詰めても事態が改善するはずがない。むしろ悪化することが簡単に予期された。
結局、俺は何も出来なかった。そして自分のことが嫌いになった。
教室に戻ってパンを頬張ったが、ほとんど味を感じない。ただ胃に詰め込んでいるだけだった。
それでも空腹よりはマシだ。腹が減っていると思考回路が働かない。
教室内できゃあきゃあ言っている女子のグループを忌々しく見る。その中心には西がいた。
――直接言うか?
俺としては、舞が登校してくるまでに何か手を打っておきたいが、英理子のありがたい忠告を思い出し、早まった真似はよそうと結論を下す。
だが結局のところ、これでは中学生のときと同じだ。
卑怯な連中の報復を恐れて、身動きが取れなくなるのは嫌だ。
それに、だ。



