オレは、春美の手を握り、


「春美」

そう呼びかけた。


ハッと我に返った春美は、

オレを見て微笑んだ。


そして、おもむろに、ノートを出すと、

走り書きをして、

オレに見せた。


『大事な話の最中に、

邪魔してゴメンね?』


そんなこと、思うわけがない。

オレは、

春美が好きなんだから。


なぜか春美は、

バス停に停まらず、

歩道を歩き出した。


オレは慌ててそれを止めた。