振り返ると、

春美が俺に手を振っている。


オレも笑顔で、手を振った。



「あの子、耳が聞こえないんでしょ?」



「何で知って?」



「友達が、よく一緒にいるのを

見かけててさ…あんなこのどこがいいの?」


・・・あんな子。

その言葉に、オレは頭に来て、怒鳴ろうとした。

次の瞬間。


「私、琉生のこと、好きなんだ。

付き合ってよ?」


オレの肩に手を置いた春美は、

動きが止まったまま、

祥子を見つめていた。

・・・・

聞こえなくても、

口の動きで言葉が分かる春美は、

今の告白に、戸惑ってる。