振り返ると、

田中先生が、ニヤニヤしている。


『なんですか?』

手話で会話をできる先生とは、

いつもそうしてる。


『あの子のこと、好きなの?』

私は自分の心を見透かした先生の

肩をポンと叩いた。


『私と、先生の秘密だよ?』


そう言うと、

先生は、笑顔で頷いた。



・・・


『先生、耳の聞こえない私が、

健常者の彼を好きになってもいいのかな?』


私の質問に、

先生は驚いている。


『当たり前じゃない。

耳が聞こえないのなんて、

関係ないと思うわよ?恋する気持ちは、

皆、同じなんだから』

先生は、優しく諭してくれた。