「ねぇ、私のコト好き?」「嫌いじゃないよ。」

このやりとりを何回繰り返しただろうね。

あなたはいつも、私の目を見ずに「嫌いじゃない」って言ってた。

だから今、私はあなたの顔よりも先に声を思い出すよ。

優しくて甘いチョコレートみたいなあなたの声を。


今日だけはあなたのコトを思い出したい。
あなたとの幸せな記憶だけ、思い出したい。




2005年の6月。大学生になった私は塾の講師のアルバイトを始めた。

仕事はそれほど大変ではなかったし、バイトの先輩たちはとても親切で優しかった。