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「…全く…もう!なんなのよ」



紫音さんの部屋を出た私は一人、ブツブツと紫音さんの悪口を言いながら廊下を歩いていた




本当に、紫音さんには呆れてしまった



無理矢理に事に及んだことも、帰ると言えば平然としていたこと


帰る場所なんかないとか、誰も人間界に連れてはいかないとか…自信満々にいっちゃって



「………っ」



しかも、そのことや、夜のことも含め全部において、全く謝る気配がない





紫音さんが、私を大切にしてくれてるのはわかるけれど、たまにその愛情が紫音さんはおかしいんだ




現に今だって、飛び出した私を追いかけてくる気配はないし



なによ。なにが、去るものは追わないと分かっているだろう!…よ…



分かってはいるけれど、なんだか物凄く悔しくて



悲しくて、同時に込み上げる怒りのせいで涙なんか出ない




「……はぁっ」



もう…いやだ…


無意識にため息をはき、私はそのまま立ち止まり廊下の壁に寄りかかる