うさぎ と くま の物語 (完)

 

……やっぱり、梨乃センパイに言ってたことはほんと、なんだ…。


「………昨日…偶然耳に入って…」


盗み聞き…とも言いますが…。


「だから…篠田センパイは梨乃センパイと、って…って、え?」


篠田センパイが壁伝いに、ズルズルとしゃがみこんでしまった。


篠田センパイは私の目線よりも下にいる。


「………あ~…カッコわりぃ…ただでさえ、こんななのに」


「………?」


「―――――忘れて」


「!」


篠田センパイの真剣な顔と…上目遣いに、ドキッとした。


「どこまで聞いてたかわからないけど…全部、忘れて」