うさぎ と くま の物語 (完)

 

「梨乃は……俗に言う、幼なじみ…いや、腐れ縁か…。まぁ、とりあえず、好きとかいう気持ちはないよ」


「―――…で、ですか…」


一気に気が抜けそうになる。


けど。


思い出したんだ。


決定的な言葉を。


「――あっ、でもっ!私、聞いたんです!」


「―――何を?」


「………だ、だから…副部長が、梨乃センパイに…………好き、って言ってるのを」


篠田センパイのことを恐る恐る見上げる。


「………好きって…?――――…!」


センパイは何かを思い出したかのように、唇をきゅっと引き締めた。


そして…


あ、れ?


センパイの顔が…


「………………待って。それ、いつの話…?」


赤い…?