私が一瞬目を離した間に、いつの間にか篠田センパイがどんどん相手に攻めていっていた。 一瞬の隙。 篠田センパイが相手の胴着を掴み、投げる体勢に入った。 あっ! グッとセンパイが顔を歪めて、相手の身体を持ち上げた! 「――――篠田センパイっ!」 そのまま、相手の身体は浮き上がり、ドッターン!という音が会場内に響いた。 「一本!」 その途端、会場内に響く歓声。 篠田センパイは肩を揺らして、息を整えている。 か、勝った…!