――――…
「あ、うさぎっち。どこ行ってたんだよー?」
応援席に戻ると、試合に出ない部員たちがすでに揃っていた。
「あっ、ごめんなさい!ちょっと下の様子を見に行ってました」
えへら、と私は笑いながら、席に座る。
座ってすぐに目に入ったのは、佐崎センパイの姿。
佐崎センパイも私に気付いて、にこっと笑いかけてくれた。
私もそれに応えるように笑顔を浮かべた。
視線を少しずらすと、篠田センパイの姿。
篠田センパイは今から闘う場所を見つめていた。
きっと、試合をイメージしてるんだ。
いつか佐崎センパイが、篠田センパイは試合前にそうするんだ、って教えてくれた。
ふと目線を落とすと、右手首に見える、テーピング。
痛めたのって、手首を…?
大丈夫なのかな…。
さっき、ちゃんと様子を聞けば良かった。
ほんと、私はマネージャーの資格ないよね…。
あぁぁぁぁ~…
もうっ!
情けなさすぎる!