うさぎ と くま の物語 (完)

 

「あっ…佐崎センパイ!」


「……うさぎちゃん、どうしたの?」


佐崎センパイが私の顔を覗いてくる。


佐崎センパイは二人のこと…知ってるのかな…。


どちらにしても、今は知られない方がいい。


今から、大事な試合だもん。


不安な気持ちなんて…禁物。


私はにこっと笑顔を作った。


「―――決勝の前に直接声かけたくて、来ちゃいました!……頑張ってください!上で応援してますからっ!」


「あ、うん。ありがとうね」


佐崎センパイはすごく落ち着いていて、私の感情だけで乱しちゃいけない、って思った。


笑顔を崩さないようにしよう。


「………いえ」


―――私、うまく笑えてる、かな…?