「…………っ」


私はプルプルと頭を横に振る。


―――――ダメ。


今は余計なことなんて、考えちゃダメだ。


『今』大事なのは試合なんだから。


そして、篠田センパイの様子だよ…!


今度こそ、中に入ろうとした時。


「――――んで、今それ聞くんだよ…」


「いーじゃん♪」


困惑した篠田センパイの声と、楽しそうな梨乃センパイの声。


はぁ、と篠田センパイがため息をついたのが聞こえた。


「…………だよ」


「なに、聞こえないし。大丈夫だって。みんな聞こえてないよ」


「―――鬼だな、梨乃は」