うさぎ と くま の物語 (完)

 

「……………片岡。そんなこと言ったらダメだろ…」


「えっ、えっ?」


その途端、篠田センパイの腕に力が入った。


「!」


それまでは篠田センパイに『寄りかかってる』感じだったけど、今は…


『抱き締められてる』感じだ。


……想いが本当に通じたんだなって…実感する。


私も、篠田センパイのことギュッてしたい…。


私はもぞ、と手を動かす。


そして、篠田センパイの背中に手を回そうとした時…


「―――ちょっ、いいとこなんだからっ!押さないでよっ!」


ヒソヒソ話す声が耳に入ってきた。


「――――!?」


私と篠田センパイはその方向を振り向いた。


「――――おまえら…!?」


「あ~バレちゃったじゃん!もー」


「残念。ちゅーも見れると思ったのに」


「!!!」


壁の向こうから出てきたのは…


紛れもなく、梨乃センパイと佐崎センパイだった…。