「もぉ、何言ってんだよ!」




と言いながら近づいてくるお兄ちゃん。

全力で止めたい。




「と、ま、れ」




私はそう口にした。

いや、実際は口パクだけ。




お兄ちゃんの動きはピタッと止まった。
私の、【言葉の魔法】によって、止まってしまったから。




魔法でも、いろいろとあるからねっ。
私はたまたま、【言葉の魔法】で…一番簡単で、それなのにとても強力と言われてる魔法の持ち主だった。

ちなみに、動きに止まってしまった唯繰お兄ちゃんも同じ能力の持ち主。
というより、家族みんな同じ能力を持ってる。

たまに、例外がいるけどね。
実はというと私も例外の中にはいるんだぁ。
私は【言葉の魔法】と他の魔法全般が使えてしまう。
数少ない純血の魔法使いの生まれ変わりとか……。
あんまり、興味ないだけど♪




「凛々…?」




あらら…止まってなかったらしいですね。
お兄ちゃん怒ってるね……

家族へ魔法かけるときって、きくときときかないときがあるんだ……。