この時は知るよしもなかった。
この女の子が俺の人生に深く関わる
ことになるなんて。
俺は急に言われた一言に戸惑り
どうすることもできず、ただ
唖然とするしかなかった。
しかし、彼女は俺の前まで来て
俺の手の中にある物を奪い取り、
走りだした。
「あんちゃんッ!!待ちなさいッ!!
あんパンは食べちゃ駄目だって
いつも言ってるでしょッ!?
止まりなさい~ッ!!」
彼女とさっきまで言い合いをしていた
らしい看護師さんが、彼女の後を
追いかけて行った。
俺は自分の顔に降ってきた物が
あんパンであったことを理解する
のに、しばらく時間がかかって
しまった。
その後、病室に戻りぼ~っとして
いた。
しばらくして父ちゃんが来て、
母ちゃんが目を覚ますかわからない
と俺に言ってきた。
最初は何を言ってるのかよく
わからなかった。
でも、父ちゃんの顔があまりにも
真剣だったので事態の大きさに
気づかないわけにはいかなかったんだ。


