あまりに自然にそう言われたので
この状況を把握するまでに何秒か
かかってしまった。
「……母ちゃんッ母ちゃんはッ!?」
俺はさっきまで寝ていた人とは
思えないくらいに看護師さんに
向かって叫んでいた。
「裕くん落ち着いてッ
お母さんは大丈夫だから!!」
看護師さんはそう言って俺の背中を
優しくさすってくれた。
それから少し落ち着いた俺に
あの後のことを説明してくれた。
あの後、俺は放心状態になりつつも
なんとか救急車を呼び、母ちゃんが
車に乗ったのを見届けるとすぐに
気を失ったらしい。
母ちゃんは今集中治療室で眠って
いる。俺が連絡をするのが一歩でも
遅かったら、母ちゃんはもうこの世
にはいなかったかもしれないという。
何がなんだか、何で母ちゃんが
倒れたのか。
それはまだ小学生の俺には説明
してはくれなかった。
ただ、母ちゃんが助かったという
ことだけを伝えられた俺は、安心感
で胸がいっぱいで、すぐにでも
家に帰れるものだと思い込んでいた。
だからこれからもっと辛い事実を
知らされることになるとは、
想像もしていなかったんだ。


