誰もがそう思っただろう。
彼女が口を開くまでは。
「それじゃ、自己紹介しようか。」
ヤマちゃんに言われた彼女は
さっきまで綺麗に縛られていた口を
開いた。
「岸本あん子、以上。」
誰もが期待しただろう。
彼女がどんな声で、どんな風に
話すのか。
彼女が話したたった一言。
俺は唖然とした。
いや、俺だけじゃないだろう。
ヤマちゃんは一瞬戸惑っていた
ようだが、すぐに我に返った。
「何か岸本に質問がある人は
聞いてみたらどうだ~??」
その一言で、教室中の男子が
盛り上がり始めた。
「はいはーい!!あん子ちゃんは
彼氏いるの~??」
一人の男子が彼女に問いかけた。


