キッチンにいるはずの母ちゃんは
何回呼んでも返事がない。



「無視かよ~」


文句をこぼしながら渋々ソファーを
立つ。




キッチンはオープンキッチン
ではなく、さっきまで俺が座って
いたソファーからは見えないように
なっていた。




しかし、そこから少し動けば
見えるようになっている。




でも今日は見えなかった。
いや、そこにいるはずの母ちゃんの
姿がなかったのだ。




俺はトイレにでも行ったのかと
深く考えることなく、エアコンの
リモコンを取りに歩きだした。




その時、ツーンッと何かが焦げたような
臭いがして、慌ててキッチンに足を
運んだ。



その時、俺は一瞬自分の目を疑った。




「母ちゃんッ」