――中学の入学式――



桜が舞い降りる中
あたしと同じ制服を着た人達がぞろぞろと校門に向かう。


「今日から中学生かぁ...」


真っ青に染まった雲一つない空と
ピンク色の淡い色をした桜を見上げながら呟く。


椎名梓。
今日から八神中の生徒です。
同じ小学だった子と校門の近くで待ち合わせしてるんだけど...
なかなか来ない。


「まだかなぁ」


退屈で仕方がなく近くにあったベンチに腰掛ける。
春風がふわっとあたしの頬をよぎる。
ここって案外いい場所かも...
あまりに幸せな気持になっていたあたしは、ん~っと伸びをした。
すると、さっきまでのゆったりした空気は一瞬にして消えた。


「あ~ずッ!!!」


元気で甲高い声であたしの目の前に現れる。
東條紫月。
あたしと待ち合わせしていて遅れた張本人...。


「ちょっと~遅いんだけど」


ぷぅ~と頬を膨らませて紫月を見る。
紫月はブハッと吐き出し笑いだす。


「何その顔。超うけるんだけど」


紫月とはいつもこんな感じ。
お互い空気が読めて理解しあっている良い距離感。
小学もずっと一緒だったからある意味BESTコンビ(笑)?
中学も一緒ってなんだか楽しみだな。


「そろそろ入学式かもね」


ベンチから立ち上がり校門の奥の体育館に歩いてく。



校門の前にあった桜達があたし達の背中をいつまでも見つめていた。