「びっくりさすなや!しばき倒すぞアホ―!」
思わず叫ぶと、なぜか嬉しそうに磯俣が微笑んだ。
「ほめてへんぞ?で、何?」
もっと嬉しそうに微笑みながら、
「みんな何の話してはるんですか?」と聞いてきたので、
「子供は知らんでいい!」そう言って磯俣を追い返した。
この磯俣と言う小坊、我らがスーパードーム内一番のいじられキャラである。
本人自体もそのポジションが気になっているのか、意地悪に接されると喜ぶ。
かなり頭が痛い子である。
おまけに同じ事を何回言っても理解してくれない。日本語があまり通じないみたいだ。
こんな子に事の経緯を説明するのはめんどくさい。
もしかしたら理解すらして頂けないかもしれない。

当然のごとく今日は、毒物検知機の事で盛り上がったまま時間が流れた。

「班長まだですかー?」
「早く休憩所に置いといてー!」
「磯俣!何ヘラヘラしてんねん!」
そんなインカムがあまりにもしつこく頻繁に入ったので、7時代の休憩の時には毒物検知機は休憩所のテーブルの上に置かれていた。
そして、その後は誰も毒物検知機の事をインカムではふれなくなった。
みんな気がすんだんだろう…。