「そんなに俺を犯人にしたいんか?ほな俺はどうやって磯俣のタバコに毒を塗ってん? カメラで誰もタバコに触ってないんはみんなの目で確かめたやろ?」
見開いた目に少し涙を浮かべて興奮気味に信くんが言った。
「磯俣がタバコを吸った時に毒死したからって、タバコに毒が塗ってあったってのが思い込みやったとしたら?
タバコに毒を塗る方法がなくてもつける事はできるやん。」
太ちゃんが言うと、
「どういう事?」
と言いたそうに生駒さんと地ー坊が太ちゃんの方を見て、
金谷は黙ったまま真剣な表情で信くんの方を見つめ、
高くんは退屈そうにアクビをしながら伸びをしていた。

そして信くんは下を向いて黙っていた。
「ほんまは磯俣のタバコに毒なんて塗ってへんかったのに、そう思い込ませる事でカメラ確認をして自分も含めて誰も磯俣のタバコに触れてないって証明したかったんやろ?

そのために支配人まで殺して。そうする事で自分が犯人じゃ……。」
太ちゃんが真剣な口調で少し早口になりだした所で高くんが信くんの方へと歩き出した。
そのせいで太ちゃんは言ってる途中で言葉を失った。
「高くん、何してんねんな?」思わず言うと、
「もういいですやん。僕もう答え知ってますもん。はよ警察につき出しましょうよ。」

ん?俺なんか悪い事してる?
と言った感じで高くんが信くんの肩を掴んだ。
信くんはその手を払いのけて、
「最後まで聞かせて。」と言った。