「……三階にいた。俺らの教室」
「ずっとそこにいたんですか?」
「あぁ」
「え、でも……」
「ずっと教室にいたっつってんだろ」

ナツは、口ごもる。
シュンとユカリが一階で撮影しているところを見に来たのは、7時前後のことだ。
それから15分ほどで、二人はその場を立ち去っている。
そして、竹田の死体を発見したのが、8時過ぎ。
ナツが二階から三階への階段の踊り場にいるところへ二人が降りて来たのが、その数分前だ。
7時15分から8時までの空白の時間が、彼ら二人には存在することになる。

ナツは、その疑問を口にするのを躊躇った。
しかし、マサトは、ぽつりと呟いた。
いかにも面白がっているような、不躾な目線と共に。

「……へぇ……察しろ、と」

途端、ユカリは首まで真っ赤に染め、シュンは面倒くさそうに溜め息を吐いたのだった。