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その日、映研部が遅くまで校舎に残っていたのは、近々開かれる、全国高校映画祭というコンクールのためだった。

夜の校舎が舞台の、短編ホラー。
主人公を新入部員のナオ、その友人や先輩役には、二年生のコウキやヨリコ。
ここの映研部に入りたくて悠綺高校を受験したというマサトも加わって、今回の作品には例年以上に力が入っていた。

そのためか、製作にかかる時間も手間も普段以上で、特にここ数週間は、こうして夜遅くまで学校に残っていることが多かったのだ。
それにホラーの演出はやはり、暗い方が十分な効果が得られる。
彼らにとって、この時間にここに残っていなければできないことというのが、たくさんあった。