ふと、紅が夏生の袖を小さく引く。
「あの後ろの方にいるのって、さっきの奴らじゃないか?」
直姫たちにも聞こえる程度の小声に、紅の言った方に目を向ける。
さっき「出来レースだ」などと言っていた数人が、田畑の背後に見えた。
この部長にしてあの部員あり、というわけだ。
「……気分わる」
口をほとんど動かさずにぽそりと呟いた夏生の声は、木元たちにも届かなかっただろう。
彼らの方がよほど気分を害しているのだ。
直姫たち全員の内心の代弁だとしても、耳に入れるべきではない。
しかし、関わらないよう距離を取っていた生徒会に、田畑は気付いたようだった。
いやに明るい声を上げる。
「もしかして、“悠綺高校の生徒会”の皆さんですか?」
「え?」
「有名じゃないですか。著名人の多い悠綺高校で、特にトップクラスの生徒が揃った生徒会。どれだけの受験生が、その中に入りたがってることか」
「はぁ……」
やけに持ち上げてくる思惑を一瞬で察して、夏生は人の良さそうな苦笑いを作った。
正直、だからなんだというような口上に嫌気が差して、直姫はこっそりと真琴の後ろに下がる。


