ONLOOKER Ⅳ




「すごいストーリーでしたね。うちの狭い校舎じゃできないトリックだろうなぁ」
「あれは、うちの一年生が考えたんですよ。彼女がそうです」

木元が手を差し出したので、麗華は一歩前に進み出て、膝を軽く曲げるお辞儀をする。
その優雅さに、田畑と名乗った相手は少し目を見開いたが、すぐに物珍しそうな顔を隠して言った。

「へぇ、一年生。これからが楽しみですね。……あれは、ご自分で走って試してみたんですか? ……なんて、まさかね」

笑いながらのその言葉は、決定的だった。
そんな仕草をして見せるお嬢様がいる映研部だ、どうせ自分たちでカメラを担いで走ったりなんてしてないんだろう。
なんだったら、脚本だって誰かを雇って書かせてるに違いない。
――そんな最大限彼らを馬鹿にした言葉を、一言に凝縮したような、「まさかね」だった。

麗華がひくりと眉を寄せる。
木元は口許をひきつらせ、有川は無言のまま表情を強張らせた。
後ろで話を聞いているだけだった生徒会でさえ、あの言葉は不愉快だ。