ONLOOKER Ⅳ




「二人が三階に行ってたのは、計算外だったんでしょ。変にぼろ出すの嫌で、余計なことは言わないようにしてたんですよね」

マサトのその言葉は、ナツへの疑念と、確信に満ちていた。

思えば、撮影が終わったあと、部室へ戻るまでの数分の間も、ナツが作り出したものだった。
何の気なしに踊り場で立ち止まり、星が綺麗ですよ、なんて言って引き留め、そこから作品の話へ持ち込む。
映研部ならば立ち去るわけにはいかない話題を提示して、コウキが渡り廊下を封鎖する時間稼ぎをしていたのだ。

少なくとも東側渡り廊下のシャッター封鎖はコウキしかできない、ということになった以上、その手助けと思われる言動を取っていたナツも、言い逃れはできない。
はずだった。



唐突に、笑い声が聞こえる。
くつくつと、喉の奥で出したような、嫌味な笑い方だった。

篠宮ナツは、笑っていた。
その後ろで、柿沢コウキは表情を消し、井上ヨリコが、平然とマサトたちの顔を見渡していた。