ONLOOKER Ⅳ



沈黙は一瞬だったはずだが、誰かが息を呑む音が聞こえて、それがやけに余韻を残した。
数分も、数十分もあったような気がする。
もはや誰も口を開かないと思ったのか、マサトが言う。

「女子トイレは西側の渡り廊下の前だけど、ヨリコ先輩は10分くらいで戻ってきてます。渡り廊下までの往復は出来ても、西校舎まで行くのは、時間的にちょっと無理かも。でもナツ先輩は三階の廊下を見に行くと言って、20分近く一人になってます、よね」

マサトの視線は、主にシュンやユカリやナオにあった。
発言を求めているのだ。
それに答えられるのは、シュンしかいない。

「二階から西側の階段を使って一階へ降りれば、玄関から中庭と西校舎を回ってシャッターを降ろして戻って来るくらいはできるな」
「シュン先輩とユカリ先輩がずっと三階の教室にいたって言った時、ナツ先輩、なにも言わなかったし。廊下を見に行ったなら話し声くらい気付いたはずなのに」

それどころかナツはシュンに、一階で少し撮影を見たあと、どこにいたのか、と尋ねていた。
それにシュンもヨリコも、ナツが三階へ来たことに気付いたとは言っていない。
足音や物音で、いくらなんでもお互いに全く気付かないなんてことはないはずなのに、だ。