「その映画研究部のことなんだけど」 「え、なにー、なんかヤバイ映画でも撮っちゃった?」 「違います。むしろそれ以上に厄介」 よくよく見れば夏生の表情は、なにか問題が起きた時の苛立ったものでも、面倒事を押し付けられた時の辟易したものでもなかった。 わりと今まで見たことのない種類の、あえて言うならば――困り顔。 素早く察した真琴が、心配そうに言う。 「なにかあったんですか?」 「夏生? どうしたんだよ」 一瞬目線をうろつかせた夏生は、また一つ溜め息を吐いた。