「奈緒」
眉をハの字に下げる母さん独特の表情を見て、愁ちゃんの笑い方を思い出した、困ったように笑うときは母さんのこの表情に似ていた。
「なに…」
今にも枯れそうな声で母さんと焦点も合わないまま呟くように言う。
「ご飯食べなきゃダメよ」
「うん…、」
「父さんも心配してるわ」
「うん…、」
「さっき茉莉奈ちゃんが来たわよ」
「うん…、」
「茉莉奈ちゃんも凄く心配していた、ねぇ、メールくらい返してあげなさい」
「分かってるよ、母さん…」
「愁ちゃんの事は辛いかもしれない、だけど、あれは運命だったのよ」
運命…?
頭の中で何かが崩れた音がした。
「…………、」
「愁ちゃんが死ぬのはきっと決められていた事なのよ」
「……………」
「しょうがないと思うわ」
「…………て……」
「え?」
「出てって!!!!!!!!!!」
いきなり叫んだ私に母さんは目を丸くした。
「愁ちゃん死ぬのは運命なの!?必然的だったってことなの!?ねぇ、?しょうがないことなの!?なんとかいえよ!!!!!!!!!!!」
「……、奈、緒」
「出てって!!」
「奈緒!!」
「もう、出てけよっ!!!!!!!」
そういい私は無理矢理母さんを部屋から追い出した。鍵を閉めてそのまま地べたに座り込む。ドアを越しには母さんの啜り泣く声がした。……、ざまぁみろ。
「……あぁもう、…しにたい」