「そうですね。担当になって1か月くらいで、亡くなられてしまって・・・。

たまたまだろうけど、やりきれませんね。

でも、明後日、源さんにちゃんとお別れしてきます。お休みだから・・・」

「きっと、喜んでくれるだろうよ。私も行く予定だからね」

「はい」

鈴木さんに任せぱなしだったから、隆さんのところに向かった。

「あら、もう、終わったの?」

「はい。先程、帰られました。隆さん、お部屋に戻りましょうか」

車いすを押す。

部屋に戻ると『恵ちゃんは、葬式に行くの?』と聞かれ頷くと、『これを源さんの中に入れてあげて』と2人でしていた将棋の駒を渡された。

「これは、2人で買ったものなんだ。だから、あっちでも源さんが遊べるように」

「わかりました。持って行きますね・・・隆さん」

隆さんは、この部屋で、もう、2人を見送ったと呟いた。