生徒会室のドアが開く音がしたので、ドアに目を向けると遥斗が立っていた。

「悪い…。帰るか。」

「うん。」
　
遥斗に返事をすると真琴は自分の鞄を持ち、生徒会室を出た。
生徒会室を出ると、さっきまで暖かかった体は直ぐに冷えていった。
真琴は生徒会室のドアに鍵をかけると無意識に呟いた。

「早かったなぁ…。」
　
真琴の言葉に不思議そうに遥斗が聞いてきた。

「何が？」

「この一ヶ月。あっという間に過ぎていったなぁと思って。」
　
真琴は振り返って遥斗に言った。

「ふぅ～ん。早く帰らないと遅くなる。」
　
遥斗はそう言うとさっさと歩き出したので、真琴は急いで遥斗の背中を追いかけた。
　
少し頬が緩む。
真琴は遥斗の背中を見ながら、自分の頬が少し緩んでいるのがわかった。
それは初めて遥斗一緒に帰るからだ。

「ねぇ、佐伯君。公園に寄って行かない？」
　
真琴は公園の入り口を指差しながら遥斗に声をかけた。
遥斗はあからさまに嫌な顔をしたが、真琴はそんな遥斗を無視して遥斗を公園に引っ張っていった。
公園は誰もいなくて静かだった。