「 こんな時間帯だったよね 」




2人で見た景色。




びしょ濡れの私を見て笑いながら
おいで、と手を差し出してくれて
スーツの上着を私に着せて
後ろから抱きしめてくれた。




『 ・・・スーツ、大変だったな 』


「 濡れるからいいよって
  私はちゃんと言ったよ? 」


『 それで風邪ひかれちゃ
  困るからね 』




海は泳いだりするより
眺める方が好きだ、と言う
あきの腕の中で




そんなことないのに、と
泳ぐことの楽しさを延々と語ってた。




暗くて全然見えないのに
波の音と月の光に2人でずっと
遠くを眺めてた。




「 懐かしいね 」


『 うん、本当に懐かしい 』