「 ────────あきは、風みたいだね 」 同じものを見ていて、 同じときに生きてる。 私を優しく包み込んで だけどそっと離れていく。 『 ・・・風、かもしれないね 』 苦笑交じりのその声に あき風だ、なんて返して 私は一番奥にある建物に入った。 「 あきー 」 『 んー? 』 「 私、ここ好き 」 鼻を掠める海の匂いと、 自分の足音しかしない静かな場所。